
アコムといえばカードローン(キャッシング)かクレジットカードのイメージが強いと思います。
大手ということもあり、テレビCMもよく流れているので、とくにそのように感じる方が多いとは思いますが、実は「貸金業法に基づく借換え専用ローン」という借換えに特化した商品もあるのです。
この借換え専用ローンの特徴などを紹介していきます。
カードローン(キャッシング)と何が違うの?
通常、アコムへ申込みをした場合、カードローン(キャッシング)の利用申し込みとなります。
このカードローン(キャッシング)は、アコムとの契約時に決められた限度額内であれば何度でも借入れができるサービスになっています。
ところが、借換え専用ローンの場合は、融資の際に借入希望金額を一括で借入して、その後は返済のみという形になっています。
銀行で例えるとフリーローンのようなものです。カードローン(キャッシング)と大きく違うのはこの点です。
アコム借換え専用ローンとカードローンの貸付条件等の違い
借換え専用ローン | カードローン | |
---|---|---|
金利 | 7.7%~18.0% | 3.0%~18.0% |
融資額 | 1~300万円 | 800万円まで |
融資時間 | 最短即日 | 最短即日 |
返済方式 | 元利均等返済方式 | 定率リボルビング方式 |
金利の違いについて
各商品の下限金利(一番低い金利)を見ると、借換え専用ローンが7.7%でカードローンが3.0%と4.3%も違うということになっています。
これは最大融資額が500万円も違うということもあるので、単純に比較するのもどうかと思うのですが、数字だけを見るとこれくらいの金利差があるということです。
融資額の違いについて
これは先ほども触れましたが、借換え専用ローンが最大300万円でカードローンが最大800万円となっています。
こうやって見ると、カードローンでおまとめした方がいいように思われるかもしれませんが、カードローンで800万円借り入れしようとすると年収が2,400万円もないと無理です。
なぜ、2,400万円かというのは後で詳しく説明しますが、アコムのような貸金業者の場合は貸金業法を基に運営されています。その法律によって年収の3分の1以上の貸出しができなくなっているために、このような年収が必要になるというわけです。
一方、借換え専用ローンであれば、年収の3分の1以上の貸し出し…という法律の対象外商品として取り扱われていますので、カードローンのように年収を気にすることがないというメリットがあります。
融資時間の違いについて
申込みから融資までの時間は、カードローン・借換え専用ローンともに最短即日となっております。
カードローンが即日融資というのは、銀行カードローンなどでも可能になっているのでそれほど驚くことはないとは思います。ただ、借り換えとなると色々手続きや審査ですぐに借り入れができないイメージがあるかもしれませんが、借換え専用ローンも申込んだ当日に融資が可能になっています。
返済方式について
アコムのカードローンと借換え専用ローンは返済方式が異なります。
- カードローン定率リボルビング方式
- 借換え専用ローン元利均等返済方式
このように返済方式が違うわけですが、何がどのように違うのかという点について説明したいと思います。
定率リボルビング方式とは?
アコムのカードローンは定率リボルビング方式で算出された返済額を毎月支払っていくことになっています。
この一定の割合ですが、アコムと契約する極度額などによって違ってきます。一応、このような形で決められています。
契約極度額 | 割合 |
---|---|
1~30万円 | 4.2%以上 |
30~800万円 | 3.0%以上・2.5%以上・2.0%以上・1.5%以上 |
例えば、20万円を借り入れしていた場合の毎月の返済額を計算すると以下のようになります。
このようになるのですが、千円未満は切り上げになりますので返済額は9,000円ということになります。この9,000円は「元金充当分 + 利息」となっており、元金が返済されていくと返済額も徐々に下がっていくわけです。
このような形で返済額が減っていきます。では、アコム借換え専用ローンで採用されている元利均等返済方式とはどのようなものかを見ていきましょう。
元利均等返済方式とは?
この元利均等返済方式は、ひょっとしたら聞いたことがあるのではないでしょうか?
この返済方式がよく使われているローンで有名なのが「住宅ローン」です。融資額や返済年数などは異なりますが、大幅な金利の上昇がない限りは基本的に返済完了までの間、毎月の返済額は一定になっています。
アコムの借換え専用ローンが、この元利均等返済方式を採用しているわけですが、申込み方法によって「各回の返済金額」「返済期間(回数)」の設定が違ってきます。
店頭・郵送 | 自動契約機 | |
---|---|---|
各回の返済金額 | 貸付金額の1.0%以上 | 借入金額の2.0%以上または1.5%以上 |
返済期間と返済回数 | 借入日から最長13年7ヶ月(2~162回) | ・返済金額2.0%以上の場合 借入日から最長8年0ヶ月(1~95回) ・返済金額1.5%以上の場合 借入日から最長12年3ヶ月(1~146回) |
このように設定されており、借入額がいくらになるのかによっても返済条件などは変わるとは思うのですが、「店頭・郵送」での申込みをした方が若干毎月の返済額を落とすことができそうです。
アコム 借換え専用ローンのメリットとデメリット
ここからは、アコムの借換え専用ローンのメリットとデメリットを紹介していきます。
アコム 借換え専用ローンのメリット
- 総量規制対象外になっている
- 返済額が毎月一定額になる
- 即日融資が可能
総量規制対象外になっている
通常、アコムのカードローンは貸金業法によって、年収の3分の1以上の貸付けができないようになっています。
前項に規定する「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約(住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約(以下「住宅資金貸付契約等」という。)及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額をいう。次条第五項において同じ。)を超えることとなるもの(当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。)をいう。
いわゆるこれが「総量規制」というものです。
これによって、アコム含む貸金業者は年収の3分の1以上の貸付けが原則禁じられているようになっているというわけです。
ただ、この総量規制対象から除外される貸付けと例外となる貸付けというものがあります。
- 除外される貸付け
- 不動産の建設もしくは購入に必要な資金の貸付け
- 購入予定の車を担保とした車購入費用の貸付け
- 高額療養費の貸付け
- 有価証券を担保とした貸付け など
- 例外となる貸付け
- 債務を弁済するために必要な資金の貸付けで、段階的に残高減少が見込まれるもの
- 緊急に必要と認められる医療費への貸付け
- 配偶者との収入を合算した額の3分の1以下の貸付け
- 個人事業主への貸付け など
法律ではこのように規定されているわけですが、注目したいのが「例外となる貸付け」の1番目「債務を弁済するために必要な資金の貸付けで、段階的に残高減少が見込まれるもの」
これが実は、アコムの借換え専用ローンが該当しています。つまり総量規制対象外ということになるわけです。ということは、アコムで年収の3分の1を超えた複数の債務の1本化ができるということになります。
返済額が毎月一定額になる
アコムに限らず、プロミスやアイフル、銀行カードローンなどの毎月の返済額は借入残高に応じて変動するようになっています。
借入残高が減っていけば毎月の返済額が減って支払いは楽になっていきますが、その分、元金の減りも少なくなっていき、中々返済が完了せずに利息を多く支払わないといけないような形となっています。
しかし、アコムの借換え専用ローンは、返済方式が元利均等返済方式となっていますので毎月の返済額が一定となり確実に元金を減らすことができるようになっているというわけです。
即日融資が可能
複数の借入れをまとめるとなると、審査に時間がかかってしまうイメージを持たれているかもしれません。
ただ、アコムの借換え専用ローンであれば、申し込みをする時間帯や現在の借入状況、年収などにもよりますが、申込みをしたその日のうちに借入れをすることが可能です。
この件については、直接アコムへ問い合わせを行い確認しております。
アコム 借換え専用ローンのデメリット
- 貸金業者からのおまとめしかできない
- 現在の借入残高分(元金部分)しか借り入れできない
- 金利が高め
貸金業者からのおまとめしかできない
借換え専用ローンという商品名なので、様々な借入れをおまとめできるように思われるかもしれませんが、おまとめできる借入れは貸金業者(みなし貸金業者含む)からの借入れのみに限定されています。
ですので、利用するとすればかなり限定的になってしまうというデメリットがあるということです。
ではなぜ、このように貸金業者(みなし貸金業者含む)からの借入れに限定しているのかというと、貸金業法施行規則 第10条の23 第1項第1号の2に基づいた商品だからです。
当該個人顧客が弁済する債務のすべてが、当該個人顧客が貸金業者と締結した貸付けに係る契約に基づき負担する債務であつて、貸金業者又は法第四十三条 の規定により貸金業者とみなされる者(次項第一号の二ロにおいて「みなし貸金業者」という。)を債権者とするものであること。
このように定められていることから、銀行カードローンやショッピングローンなどの債務はおまとめができなくなっています。
現在の借入残高分(元金部分)しか借り入れできない
「元金部分の返済ができればいいんじゃないの?」と思われたかもしれません。
ただ、借入れ分を一括で返済する場合、元金だけでなく前回支払い時から一括で返済する日までにかかる利息分が必要となります。
ということは、完済するにあたり「元金+利息」を返済しないといけません。
この利息分については借入れができないようになっていますので、一括で返済をするのであれば利息分は自分で用意をする形になってしまいます。もし、利息額がそれほどの額でなければいいのですが、すぐに用意できない額であれば、おまとめをしても完済できないといった状況になってしまうというわけです。
金利が高め
アコムの借換え専用ローンのように、おまとめが可能で元利均等返済ができる商品として銀行のフリーローンがありますが、それと比較しても多少金利が高くなっています。
商品名 | 金利 |
---|---|
東京スター銀行 スターワンバンクローン(おまとめローン) | 5.8%~14.8% |
イオン銀行 おまとめローン・フリーローン | 3.8%~13.5% |
住信SBIネット銀行 Mr.フリーローン | 3.775%~12.0% |
一部の銀行フリーローンを挙げてみましたが、アコムの借換え専用ローンの金利と比べてみていかがでしたでしょうか?
思った以上に金利が違うと感じたかもしれません。ただ、銀行のフリーローンは審査に時間がかかったり、口座開設が必要であったりといったデメリットもありますので、おまとめローン商品を選ぶときは金利面だけでなく融資までにどういった手続きが必要になってくるのかといった点も含めて検討するのがいいでしょう。
借り換え後は自分で他社の解約手続きが必要?
借り換えに伴う他社への返済については、アコムが契約者名で直接振込を行ってくれるので、現在の借入先に自分で返済する必要はありません。つまりアコムから借りたお金は自分の手元には入らず、直接他社へ渡ることになります。
借り換え後に他社で新規借入をすることはできる?
アコムの借り換えローンを利用中に他社で新たに借入はできるのか、疑問に思う方も多いかもしれません。この点に関してアコムのコールセンターに確認したところ、「借り換えローンを利用中でも、他社での新規借り入れは契約上問題ない」という返答が得られました。
しかしその後に「借り換えローンの目的は借入を一本化して返済負担を減らすことにあるので、新たに借入が増えるようでは・・・」といった言葉を濁すような返答もあったので、契約上は問題ないが、できれば控えてほしいというのが本音のようです。
実際のところ借り換え後に他社の審査に通るのもおそらく簡単ではないので、借り換えローンを完済するまでは新たな借入を控え、返済に専念することをおすすめします。
アコム借り換えローンの申込みに在席確認はある?
借り換えローンの場合も、一般的なカードローンと同じ職場への在席確認は行われます。
原則は電話確認ですが、状況によっては運転免許証と社会保険証もしくは給与明細で確認をしてもらうこともできるので、電話連絡が難しい場合は一度アコムに相談してみましょう。
しかし、在席確認の電話は非通知かつ担当者の個人名を名乗るので、在席確認によって職場に借入がバレることはまずありません。
それでも不安な方は「クレジットカードを作った」と説明しておけば、借入を疑われる心配がないのでおすすめです。
アコム借り換えローン申込みの流れ
アコム借り換えローンの申込から融資までの流れをまとめました。早めの時間帯に来店すれば、即日融資も可能となっています。
- アコムフリーコール(0120-07-1000)から、借り換えローンの申込をする
- 担当者から商品内容や必要書類に関する案内を受ける
- 必要書類を持参し、店頭か自動契約機に向かう
- 審査開始
- 審査結果の回答
- 融資
アコム借り換えローン申込に必要なもの
借り換えローンの申込には以下の書類が必要です。
- 運転免許証
- 個人番号カード
- 健康保険証+「住民票、公共料金領収書、納税証明書のいずれか1点」
最新のものをいずれか1点
- 源泉徴収票
- 確定申告書
- 税類通知書
- 所得証明書
- 給与明細書
アコムで借換えたら得なの?
アコムの借換え専用ローンを利用して得するかどうかという話ですが…正直なところ、これは利用する人の状況によって変わってきます。
利用金額が多くなるほど金利が下がるので、200万円程度またはそれ以上の借入れを希望しているのであれば、多少金利が下がり総返済額も下げられるといった可能性は十分考えられます。
この商品は金利面だけ見ると、銀行カードローンやフリーローンに比べて高い設定になっていますので、単純にそれだけで利息額が変わってきます。
ただ、銀行カードローンで借換えやおまとめをした場合、その商品が残高スライドリボルビング方式などの返済方法を採用している場合は、たとえ金利が低くても元金があまり減っていかないので、総返済額は多くなってしまう可能性があるのでご注意ください。
まとめ
アコムの借換え専用ローンは総量規制対象外になっているということで、一見利用しやすそうな印象はあるかもしれません。
ただ、金利面であまり有利な借換えにはならない可能性があり、それならば銀行で借換えやおまとめでの利用が可能なフリーローンへ申込みをした方が借換えの効果が出やすくなるでしょう。
余程の理由がない限り、借換えやおまとめをするのであれば銀行の商品を選択した方が良さそうです。
しかし、銀行のローン(特にフリーローン)に関しては欠点もあります。
商品によっては、借入れできるまでに日数がかかるものもあります。もし、急いで借換えをしないといけないという場合であればアコムの借換え専用ローンを検討してみてもいいかもしれません。
この記事にも書いたように、借換えするにあたり金利面は重視せざるを得ない点ではありますが、そこだけでなく申込みやすさや提出書類、返済方法といった点も含めて、どの商品を選択するかを決めるのが一番大切です。