
郵便局(ゆうちょ銀行)の自動貸付のやり方は?
郵政民営化される前から郵便局の「郵便貯金」を利用していて、民営化後、ゆうちょ銀行になってからも引き続き利用しているという方が多いのではないでしょうか。
また、土日でもATM手数料が無料であったり、店舗数が24,019店(2018年3月末現在)と都市銀行(みずほ銀行:559店舗 三菱UFJ銀行:823店舗 三井住友銀行:1,003店舗)と比べ圧倒的に多く利便性が高いということから、メインバンクと併用して郵便局(ゆうちょ銀行)を利用する人も多くいるようです。
そんなメリットの多い郵便局(ゆうちょ銀行)ですが、ここでは郵便局(ゆうちょ銀行)の有担保の自動貸付サービスについて解説していきます。
郵便局(ゆうちょ銀行)の自動貸付け利用条件と借入・返済方法
郵便局(ゆうちょ銀行)では、通常貯金の残高以上の引き出し請求があった際に、残高不足分を自動で貸し付けるサービスを提供しています。利用するために手続きは必要なく、ATMや窓口で貯金口座からの引き出し手続きを行うだけで利用できます。
自動貸付けサービスを受けるための条件は、次の3つです。
郵便局(ゆうちょ銀行)の総合口座通帳を持っていること
1つ目は、郵便局(ゆうちょ銀行)の総合口座通帳を持っていることです。通帳に印字されている記号・番号が「1」で始まるものが該当しますが、口座開設時には基本的には総合口座が案内されます。
定期貯金・定額貯金の預入、国債の購入代金の支払いをしていること
2つ目は、郵便局(ゆうちょ銀行)の総合口座通帳で定期貯金・定額貯金(担保定期貯金・担保定額貯金)の預入れ、又は国債の購入代金の支払いを行っていることです。定期貯金や定額貯金、国債の残高を担保に設定しており、自動貸付けの上限額を確認する必要があるためです。
国債等担保自動貸付けの申込みが済んでいること
3つ目は、国債等担保自動貸付けの申込みが済んでいることです。担保としたい国債を個別に指定することが可能です。
これらの条件を満たしていれば、審査を受けずに自動貸付けサービスを通じて、一時的にお金を借入れることができます。年齢制限も設けられていないので、年金受給者や未成年者でも貸付を受けることが可能です。
返済する場合は、貸し付けられた金額と貸付金利相当額を通常貯金口座に入金します。
郵便局(ゆうちょ銀行)自動貸付けの利用期間と限度額・金利
自動貸付けサービスには、利用期間が設定されています。利用期間は、担保が設定される貯金や国債1口ごとに設定されます。総合口座通帳ごとの期間設定ではないことに留意が必要です。
担保定期貯金・担保定額貯金の場合は、貸付日から2年又は満期日のいずれか短いものが利用期間となります。
また、国債等担保自動貸付けの場合は、貸付日から最長1年間となります。貸付日から1年の間に、担保設定された国債が償還を迎える場合は、償還日の7営業日前までが利用期間となります。
これらの利用期間を過ぎると、担保定期貯金・担保定額貯金の場合は解約扱いになり、国債の場合は郵便局(ゆうちょ銀行)に買い取られてしまいます。特に国債の場合は、買い取り時点で定められた価格が適用されるため、売却損が発生する可能性があります。
自動貸付けの限度額ですが、担保定期貯金・担保定額貯金を担保とする場合は、定期貯金や定額貯金の預入総額の90%以内、かつ1冊の総合口座通帳につき300万円までが限度額となります。購入した国債を担保とする場合は、利付国債及び個人向け国債の額面金額の80%まで、かつ1人につき200万円までです。
限度額の設定は、貯金と国債別々に行われるため、最大500万円まで自動貸付けを受けられるといえます。
自動貸付けサービスを利用する際の貸付金利計算方法は、次の通りです。
担保定期貯金を担保とする場合は、預入時点の適用利率+0.5%です。例えば、預入時点の適用利率が0.01%であれば、貸付金利は0.51%となります。また、担保定額貯金を担保とする場合には、返済時に適用される預入利率+0.25%が貸付金利となります。
購入した国債を担保とする場合は、貸付け時点で適用される預入期間1年の定期預金の利率に1.7%を加えた金利が適用されます。
郵便局(ゆうちょ銀行)で複数の取引がある場合の自動貸付けと返済の順序
貯金取引と国債購入の両方を総合口座で行っている場合は、最初に担保定期貯金・担保定額貯金が担保に設定され、その貸付上限額を超えてから国債に担保が設定されます。
すなわち、自動貸付けにあたっては、貯金から優先して行われることになります。国債を担保にする場合の利用期間が短いことと、利用期間内に返済ができなかった場合における利付国債の売却リスクを考慮しての順序設定と考えられます。
担保定額貯金・担保定期貯金の預入れが複数ある場合はまず、貸付期間が最も長く取れる貯金に対して担保が設定されます。続けて、貯金の利率が最も低いもの、個別番号の大きいものの順に担保が設定されます。
返済の順序はその逆で、貸付期間が最も早く満了するものから順に貸付額を減らしていきます。
続いて、貯金の利率が最も高いもの、個別番号の小さいものの順に返済に回していきます。貸付期間満了に伴う担保定額貯金・担保定期貯金の解約を避け、なおかつ金利負担が少なくなるよう配慮されています。
国債を担保にする場合は、国債等担保自動貸付けの利用申込みをした国債で、かつ貸付期間が最も長く取れるものから順に担保設定がなされます。返済にあたっては、国債への返済が優先されます。
定期貯金・定額貯金を預ける際の注意点
定期貯金と定額貯金のちがいについて、先に説明します。
定期貯金は、お金の預入期間を事前に決めるタイプの貯金で、銀行等の定期預金と同等の商品です。最低1か月から最長5年まで、8つの預入期間が設定されています。満期を迎えた後、同じ預入期間での自動継続が可能ですが、預金金利は自動継続時点のものが適用されます。
一方、定額貯金は、預入から3年までは半年ごとに利率が変動するタイプの貯金で、他の金融機関には見られない商品です。
預入日から6か月経過後は、口数単位で自由に引き出すことができます。預入金額は、1口1,000円以上300万円以下で、8つのプランが用意されています。
数年前までは、預入期間が長いほど高い利率が適用されていたのですが、2016年1月に日銀のマイナス金利政策が導入されて以降は、預入期間にかかわらず一定の利率になりました。
さて、定期貯金・定額貯金を預け入れる際、自動貸付サービスを利用する予定があれば、総合口座扱いと指定します。
「自動貸付サービスを付けてほしい」と言えば、わかりやすいかも知れません。
定額定期貯金証書の発行を受けたり自動積立の設定をしたりすると、自動貸付サービスの対象外となるので要注意です。なお、総合口座通帳を使ってATMで定期貯金・定額貯金を預け入れる場合や、ゆうちょダイレクトで定期貯金・定額貯金を預け入れる場合は、自動的に総合口座扱いとなります。
まとめ
郵便局(ゆうちょ銀行)の自動貸付サービスでは、担保定期貯金・担保定額貯金の残高と国債の額面に応じて利用上限額が定められるので、どのくらい借りることができるか予測を立てやすくなっています。
また、消費者金融や銀行カードローンを大きく下回る利率で借り入れることも可能です。いざという時に備え、担保定期貯金・担保定額貯金を預けておくと安心です。