
カードローンやフリーローン、教育ローンや住宅ローンなどの申込みをする際には必ずといっていいほど「収入証明書」の提出を求められます。
では、この「収入証明書」というのはどういったものなのか、どのように取得・入手するのかについて説明していきたいと思います。
収入証明書とは?
「収入証明書」と聞くと、公的機関が発行している書類のように感じますが、実際には「収入証明書」という名称の書類はありません。
「収入証明書」というのは、以下のような書類の総称です。
- 所得証明書
- 課税証明書
- 納税通知書
- 源泉徴収票
- 確定申告書
- 給与明細書
- 住民税特別徴収税額の決定・変更通知書
所得証明書や課税証明書は自治体によって「所得・課税証明書」と1つにまとまっていたりしますので、取得する際には事前に確認をしておくといいでしょう。
収入証明書の入手・取得方法
各収入証明書はどうやって取得および入手するのかを説明していきます。
源泉徴収票
源泉徴収票は、給与等を支払う会社、つまり勤務先から交付という形にて入手することができます。
1月から12月までに支払われた給与等をもとに年末調整を行なうため、12月または1月の給与明細書とともに交付されることがほとんどです。
ただ、税制改正によって平成19年1月1日以降は、事前に承諾を得ていれば給料明細書や源泉徴収票の電子交付が可能となっているので、社内イントラネットなどからダウンロードやプリントアウトするといった取得方法もあります。
電子交付されている場合であれば、比較的再発行(再入手)しやすいのですが、書面で交付されている場合であれば、勤め先へ再交付依頼をしないといけません。
もし源泉徴収票を交付してくれない場合は?
所得税法上、正当な理由なく源泉徴収票を交付しない場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処することとなっています。
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。ただし、第三号の規定に該当する者が同号に規定する所得税について第二百四十条(源泉徴収に係る所得税を納付しない罪)の規定に該当するに至つたときは、同条の例による。
八 正当な理由がないのに第二百二十五条第三項ただし書、第二百二十六条第四項ただし書若しくは第二百三十一条第二項ただし書の規定による請求を拒み、又は第二百二十五条第三項ただし書に規定する通知書、第二百二十六条第四項ただし書に規定する源泉徴収票若しくは第二百三十一条第二項ただし書に規定する支払明細書に偽りの記載をしてこれらの規定に規定する支払を受ける者に交付した者
依頼したにもかかわらず交付してくれないという場合は、所轄の税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出しましょう。
もし、給与明細書を保存しているのであれば、添付書類として給与明細書の写しが必要となります。
この届出を行なうことで、税務署が源泉徴収票不交付の会社に対して行政指導をしてくれますので、何かと理由をつけて交付してくれなかった会社も慌てて対応していくれる可能性があります。
給与明細書
給与明細書も源泉徴収票と同様に、勤め先から交付される書類です。また、事前に承諾を得ていれば電子交付が可能ですので、電子交付されている場合はプリントアウトなどして取得することができます。
ただ、電子交付ではなく手渡しだった場合に再発行してもらうとなると、源泉徴収票と同じように勤め先へ再発行依頼をしなければいけません。
給与明細書って再発行できる?
給与明細書の再発行ができるかどうかについてはこちらをご覧ください。
居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。
2 前項の給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、同項の規定による給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の承諾を得て、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の請求があるときは、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書を当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者に交付しなければならない。
3 前項本文の場合において、同項の給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、第一項の給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書を交付したものとみなす。
所得税法第231条第1項にて、給与等の支払明細書を交付しなければならないとされています。
そして、給与明細書の再発行に関しては「所得税法第231条第2項」に「請求があるときは交付しなければならない」、そして源泉徴収票のセクションで紹介した「所得税法 第243条第1項第8号」では「正当な理由なく請求を拒んではいけない」となっており、これらの内容から鑑みても、再発行はできると考えられます。
ただ、問題なのは、源泉徴収票のように「源泉徴収票不交付の届出書」といった書類はないので、勤め先等が給与明細書の再発行に応じてくれない場合は所轄の税務署に相談するくらいしか方法がありません。
最悪は弁護士ということになるのですが、給与明細書の再発行のために弁護士をつけるというのも大げさな話ですので、こういったときは別の収入証明書を取得することを検討した方がいいかもしれません。
確定申告書
自営業の方や2ヶ所以上から給与を受け取っている方、副業の所得が年間20万円を超えている方などは確定申告が必要になります。
確定申告をしている場合、この確定申告書が所得証明書の代わりになります。ただ、確定申告書を所得証明として提出する場合は以下のような条件を求められることがあります。
確定申告書を紛失した場合、再発行は可能?
結論から言うと、再発行可能です。ただ、再発行してもらうためには以下のものが必要となります。
- 保有個人情報開示請求書
国税庁のホームページからダウンロードが可能(PDFファイル)ですが、税務署にもこの請求書はありますので、郵送にて手続きをする場合以外はダウンロードの必要はないかと思われます。
- 本人確認書類
運転免許証・健康保険証・個人番号カード(マイナンバーカード)・住民基本台帳カード等が必要となります。
窓口で直接開示請求手続きを行なう場合は、その場で提示すればOKですが、開示請求書を送付するのであれば、上記の本人確認書類の写しに加え、住民票の写しを提出しないといけません。
- 開示請求手数料
開示請求手数料として1件につき300円が必要です。
窓口で手続きをする場合は、現金で支払うことができますが、送付をする場合は手数料分の「収入印紙」を保有個人情報開示請求書に貼り付けて提出することで納付となります。
開示請求書自体、それほど記入する箇所もないので手間ではないのですが、欠点として、手続きを行なってから再発行されるまでに1ヶ月近く時間がかかる可能性があるということです。
ですので、確定申告書の再発行をする場合は、この点を頭に入れておきましょう。
所得証明書(課税証明書)
所得金額を証明する書類として「所得証明書」がありますが、自治体により「所得証明書」や「所得・課税証明書」「課税証明書」など名称が異なっていることがあります。
市や区などの窓口で取得する場合は「所得金額が記載されている証明書」が、どの証明書類に該当するかを事前に確認しておくといいでしょう。
取得をする際の注意点として、もし転勤などで引っ越しをした場合は、1月1日時点で居住していた市区町村で発行してもらうことになります。
例えば、3月にA市からB市へ引っ越しをした場合、所得証明書はA市に発行してもらうという形になります。
無職で収入がない場合の収入証明書の取得について
被扶養者資格認定などの調査をするにあたり、収入の有無に関係なく証明書類の提出をしないといけない場合があります。
パートなどをしていても課税対象でない場合や、無職の方で収入がない場合はどうすればいいのでしょうか?
このような場合は「非課税証明書」を発行することができます。
ただ、自治体によっては「非課税証明書」ではなく、所得証明書に「所得なし」記載される場合や、所得・課税証明に「課税 0円」と記載される書類が収入がない場合の収入証明書に該当します。
いくつかの自治体ではどうなっているかを挙げてみます。
あくまでも一部ですが、上記を見るだけでも該当する書類の名称が自治体により異なっているということがお分かりいただけると思います。ですので、取得する際には、事前に電話で確認をしておくか、窓口で相談するのがいいでしょう。