この記事のアドバイザ
- この記事はこんな人におすすめ
- ✔ FXで中長期的に稼ぎたい!
- ✔ FXのスワップポイントって何?
- ✔ 安定的に利益を積み上げたい!
中長期でFX運用をする時に、絶対に覚えなくてはならない言葉が「スワップポイント」です。もちろん、これを意識しなくてもよいトレードの仕方や、あえてマイナススワップ覚悟でのトレードも十分あり得ます。
ただ、いずれにしてもスワップポイントはFXを理解するうえで大変有用な言葉です。
スワップポイントの決まり方や、スワップポイントを重視した業者選びなど、本記事ではスワップポイントに関する情報満載でお届けします。
スワップポイントの基本
スワップポイントとは、外貨預金の利子に相当します。つまり、日本円ではない通貨で運用し「そこで発生した金利を得る」というものです。
日本円は、世界でも有数の低金利の通貨として知られているので、他国のお金を所持しているだけで受け取れるというパターンがほとんどです。
- まず理解すべき基本項目
- スワップポイントの決まり方
- スワップポイントのもらい方
とりわけ、長期投資をされる場合には、日々のスワップポイントの積み重ねが少なくない金額になります。一方で、短期や中期の投資をされる方は、マイナススワップ(後述)覚悟で取引されて、利益を上げられている方も多くいらっしゃいます。
スワップポイントの決まり方
スワップポイントを決める際、最も重要になるのが各国の政策金利です。主要国の2017年10月時点での政策金利は、以下のようになっています。これは、毎月発表されて変化するものだという事を覚えておきましょう。
国 | 政策金利 |
---|---|
日本 | 0.10% |
米国 | 5.25 ~ 5.50% |
欧州 | 4.25% |
英国 | 5.25% |
カナダ | 4.75% |
豪州 | 4.35% |
南ア | 6.75% |
トルコ | 50.00% |
✓低い金利の通貨を売り、高い金利の通貨を買うと、プラスになる
具体的に、日本円を売って、他国のお金を買った場合のスワップポイント付与について見ていきます。FXの世界では買いのことを「ロング」、売りのことを「ショート」と言います。
会社 | 米ドル/円 | 豪ドル/円 | ポンド/円 | NZドル/円 | 南アランド/円 | トルコリラ/円 |
---|---|---|---|---|---|---|
買 | 買 | 買 | 買 | 買 | 買 | |
SBI FXトレード | 57円 | 18円 | 33円 | 22円 | 12円 | 33円 |
会社 | スイスフラン/円 | ユーロ/ドル | ユーロ/ポンド | 豪ドル/米ドル | ポンド/ドル |
---|---|---|---|---|---|
売 | 売 | 売 | 売 | 売 | |
SBI FXトレード | 10円 | 66円 | 42円 | 16円 | 35円 |
上記は「SBI FXトレード」の記載日時点でのスワップポイントです。通貨ペアにより、買いでスワップポイントが貰える場合と、売りでスワップポイントが貰える場合があります。
スワップポイントの金額は、一般に金利差が大きいほど高くなります。上記の中では、ドル円のロングやトルコリラ円のロング、ユーロドルのショートなどが、高いスワップが付きます。
スワップポイントの受け取り方
- ポジションを建てる
- 上記のプラスのスワップがもらえる通貨ペアを買い(または売り)ます。決済前の状態を、ポジションを建てていると言います。
- 一定期間保有する
- 業者の定める時刻までそのポジションを決済せずに保有します。
- スワップポイントが付与
- 決まった時間になると、所定のスワップポイントは自動的に付与されます。付与時間はFX業者により異なります。
スワップポイントは、その通貨ペアポジションの評価損益に加算されます。基本は、その通貨ペアを決済した時に、為替差益(差損)とともにもらえますが、「DMM FX」など一部のFX会社では、ポジションを決済することなく、スワップポイントのみを受け取ることができます。
なお、スワップポイントは土日においては、相場が動いていないため金曜日から月曜日にポジションを持ち越しても、土日分は付与されません。一方で、水曜日には3日分のスワップが付与されます。
スワップポイント狙いの長期投資の例
スワップポイントを狙うのであれば、おのずと長期投資になると思います。
そこで大事なことは単にスワップ狙いでポジションを保有するのではなく、1日どれくらいの利益を生み出すのか。また為替が変動した際に、損益はプラスになるのかを考慮するべきでしょう。
1日当たり何pips相当なのかを考える
例えば、ドル円の場合1万通貨のロングを持った場合、設定値の高いFX会社であれば約80円のスワップポイントがもらえます。一方で、1万通貨持った場合には、1pips(1銭)の差益を取れば、100円の為替差益になります。
買った時点から1pips(1銭)上がれば、為替の差益で100円を獲得できます。その上がるまでの期間に日をまたいでいれば、スワップで80円貰えるので180円の利益と言う事になります。
逆に1pips(1銭)下がってしまった場合は、為替の差益で100円のマイナスになりますが、日をまたげばスワップで80円補填されるので、損失は20円という事になります。
つまり、1ヶ月ずっとロングポジションを保有した時、為替のレートがまったく動かなかったとしたら、約2,400円の利益が出るという計算です。
目標利回りを考える
同じ1万通貨でも、元手がいくらかによって異なります。例)5万円で1万通貨を1年保有した場合は、約14,000円の金利が付いたことになるので、年利にすると28%になります。10万円の元手の場合は、14%、20万円なら7%となります。
しかし、証拠金が少ないと、所有している通貨が自分の目論見と逆方向に動いた場合、強制ロスカットにかかる可能性が高くなります。したがって、証拠金は多めに準備しておく方が得策です。
なお、ここでは為替差益を考慮していませんが、実際の取引では、為替差益も含めて目標利回りを算出します。
具体的なやり方
- 意識する点
- スワップポイントが高い
- スワップポイントがもらえる方向に動くか、少なくとも横ばいが予想されるものであること
後者について少し説明しますと、たとえドル円のロングはスワップポイントがもらえるとしても、今後ドル円が下落していくなら為替差損のほうが大きくなる恐れがあります。一方で、横ばいもしくは上昇を予想するならスワップポイントに加え為替差益が期待できます。
また、スワップポイント狙いの長期投資の場合には、途中でロスカットやマージンコールがされないことが大前提です。したがって、証拠金維持率が100%を下回る恐れのある、大きすぎる取引は控え、ある程度の元手を用意しましょう。
例えば、米ドル円のロングを1万通貨買うならば、最低でも30万円程度の元手があると心強いでしょう。
マイナススワップについて
✓スワップポイントを考えるとロングが良い
上記のように考えるのは、ごく自然なことです。例えば豪ドル円で言うなら、ロングポジションを持っている間はスワップポイントを受け取れますが、ショートポジションを持っている間は、逆にスワップポイントを支払わなければいけません。
マイナススワップの例
会社 | 米ドル/円 | 豪ドル/円 | ポンド/円 | NZドル/円 | 南アランド/円 | トルコリラ/円 |
---|---|---|---|---|---|---|
売 | 売 | 売 | 売 | 売 | 売 | |
SBI FXトレード | -60円 | -25円 | -41円 | -30円 | -13円 | -38円 |
会社 | スイスフラン/円 | ユーロ/ドル | ユーロ/ポンド | 豪ドル/米ドル | ポンド/ドル |
---|---|---|---|---|---|
買 | 買 | 買 | 買 | 買 | |
SBI FXトレード | -13円 | -71円 | -45円 | -21円 | -40円 |
今度は先程と逆です。米ドル円がこれから下がると予想したら、ショートポジションを持ちます。これで日をまたいだ場合には、スワップポイントを上記の分だけ毎日支払わなければいけません。
前記のプラススワップの表と比べていただくと、同じ通貨ペアでもマイナススワップのほうがわずかに大きいことが分かります。※「DMM FX」のようにプラススワップとマイナススワップが同じFX会社もあります。
マイナススワップでも利益が出た例
例えば、外貨預金の代表的な存在である、オーストラリアドルを例に挙げて考えてみましょう。ここ数年で見ると金利は上昇気味ですが、かつてのレートは以下のようなものでした。
- 豪ドル円の推移
- ✓ 2015年始値:約98円
- ✓ 2016年始値:約86.5円(安値:約72.4円)
- ✓ 2017年始値:約84.2円
- ✓ 現在(2017年10月):約88.2円
このように、下落気味でした。昔のオーストラリアドル円のスワップは今の倍くらいあったので、仮にマイナススワップを100円/日としましょう。この上で2015年の始値約98円で売った後、2017年の始値約86.5円で決済した場合を考えます。約14.5円(1450pips)の利益が出ているので、1万通貨の場合14.5万円の為替差益です。ここからスワップポイントを引くと、100円×360日×2年=72,000円となりますから、計算をして7.3万円の利益となります。
表のように、もっと安値で決済できた可能性もありますから、利益はもう少し大きくなるでしょうか。このように、長期的な下落を予想した場合には、たとえマイナススワップが大きくても、あえて為替差益を優先した取引を行って、利益を得ることができるのです。
この傾向は、取引スパンが短くなればなるほど高くなり、デイトレード以下、日をまたがないスパンのトレードでは、そもそもスワップが付与されないため、為替差益を最優先にトレードすることになります。
元 銀行員|逆瀬川勇造
スワップが高くても下落トレンドの場合は注意
高いスワップポイントを持つ通貨には魅力を感じてしまうものですが、対象の通貨が下落トレンドにある時は慎重になった方がよいでしょう。スワップ狙いの投資をするのであれば、横ばいか、できれば上向きのトレンドの時に始めるべきです。
というのも、スワップ狙いの投資は長期間でポジションを持つことになるため、いくらその期間中スワップで収入を得られても暴落にあってしまうなどすれば利益を得られないどころか、大きな損失を被ってしまいます。そもそも、高い金利を設定しているということはそれだけリスクが高いということでもあります。高いスワップを狙う時は、対象の通貨のトレンドにもよく目を向けるようにしましょう。
- マイナススワップと確定申告
FXで一定以上の利益を出した場合は、所得税を支払わなくてはなりません。この際にスワップポイントでマイナスが出た場合は、為替差益や他のスワップ利益を相殺できると覚えておきましょう。
損失が利益を超えた場合は、確定申告をすることで次の年から3年間は損失を繰越できます。覚えておいて損はないので、スワップ益も計算しておきましょう。
長期運用に向いたFX会社を選ぶ
長期運用目的でFXの取引をするのであれば、スワップポイントを狙うのも1つの戦略です。
もう既に取引する通貨ペアが決まっているのであれば、まずはFX会社各社ごとに設定されているスワップポイントを比較してみましょう。
会社 | 米ドル/円 | 豪ドル/円 | ポンド/円 | NZドル/円 |
---|---|---|---|---|
買 | 買 | 買 | 買 | |
GMOクリック証券 | 49円 | 18円 | 34円 | 21円 |
GMO外貨 | 49円 | 19円 | 27円 | 17円 |
DMM FX | 46円 | 18円 | 27円 | 17円 |
ヒロセ通商 LION FX | 20円 | 20円 | 10円 | 23円 |
外為オンライン | 45円 | 10円 | 35円 | 10円 |
SBI FXトレード | 57円 | 18円 | 33円 | 22円 |
外為どっとコム | 49円 | 19円 | 27円 | 14円 |
トレイダーズ証券 LIGHT FX | 50円 | 26円 | 45円 | 24円 |
セントラル短資FX | 20円 | 7円 | 20円 | 15円 |
FXブロードネット | 40円 | 11円 | 27円 | 10円 |
インヴァスト証券 | 50円 | 18円 | 25円 | 15円 |
会社 | 南アランド/円 | カナダドル/円 | トルコリラ/円 |
---|---|---|---|
買 | 買 | 買 | |
GMOクリック証券 | 9円 | 42円 | 29円 |
GMO外貨 | 10円 | 40円 | |
DMM FX | 10円 | 40円 | |
ヒロセ通商 LION FX | 15円 | 10円 | 41円 |
外為オンライン | 10円 | 20円 | 36円 |
SBI FXトレード | 12円 | 40円 | 33円 |
外為どっとコム | 9円 | 25円 | 33円 |
トレイダーズ証券 LIGHT FX | 15円 | 45円 | 40円 |
セントラル短資FX | 6円 | 40円 | 10円 |
FXブロードネット | 9円 | 30円 | |
インヴァスト証券 | 10円 | 35円 | 45円 |
ご覧の通り、FX会社によって、スワップポイントが異なります。また、FX会社によっては取り扱っている通貨ペアも異なります。
さらに、このスワップポイントの設定は同じFX会社でも1日ごとに変わります。自分が取引を考えている通貨ペアを取り扱っているかを事前に確認してみましょう。
プラススワップ目当ての場合
プラススワップ目当てで取引する場合と、マイナススワップ覚悟で取引する場合とでは、業者の選び方の基準が真逆になるので気を付けましょう。長期で運用したい場合は、とくに注意が必要です。
スワップポイントが高い業者を選びます。例えば、同じドル円のロングでもスワップポイントの値は業者によって異なります。一般に、マイナススワップの高い業者ほどプラスのスワップも高くなります。
マイナススワップ覚悟の場合
日をまたいで、マイナススワップのポジションを運用する場合は、先ほどとは反対に、スワップポイントの安い業者を選びます。
また、日をまたがないで、マイナススワップのつくポジションを運用する場合には、スワップポイントの値は関係ありません。スワップポイントの値にかかわらず、取引コストの安い業者を選びましょう。
元 銀行員|逆瀬川勇造
証拠金維持率に余裕をもたせておきましょう。
FXで中長期投資をする時の注意点にはさまざまなものがありますが、その中でも特に注意したいのが証拠金維持率です。中長期で取り組むのであれば証拠金維持率に余裕を持たせて取り組みましょう。というのも、証拠金維持率に余裕がないと事件や事故を理由とした暴落などに巻き込まれて、ろくに対処もできずロスカットされてしまう危険性があるからです。
なお、中長期投資では証拠金維持率を1,000%以上に保つことをオススメします。証拠金維持率が1,000%ということは、レバレッジは2.5倍。これくらいであれば暴落に巻き込まれても即ロスカットされるようなことはあまり考えられないでしょう。
取引する通貨ペアが高スワップな会社を選ぼう
スワップポイント狙いの運用をするのであれば、ご自身がトレードする通貨ペアに着目して利用する口座を選びましょう。
FX会社が設定しているスワップの数値は各社異なります。米ドル円が高スワップな会社もあれば、豪ドル円が高スワップである会社もあるわけです。
たかが数円と思うかもしれませんが、長期保有をするのであれば、それが大きく差を生み出します。ご自身が運用するであろう期間と鑑みれば、おのずと高スワップの方が有利だと感じるでしょう。
高スワップで総合力の高いFX会社
中長期でのFX運用を考えているのなら、スプレッドはさほど気にしなくても良いでしょう。しかし、大切なお金を預けるからには、信頼と安心のあるFX会社を選ぶべきだと言えます。
中長期での運用を検討しているなら、スワップが高水準で、かつ多くの人に選ばれている証券会社を選ぶようにしましょう。
SBI FXトレード
投資・証券・ネット銀行・通信サービスなど、SBIグループの知名度は申し分のないところでしょう。多くの人がSBIグループを通じて資産運用をしています。
業界最良水準スワップで総合力が高く、かつ短期トレーダー向けにスプレッドの設定もかなり狭くなっています。オリコンランキングやgooランキングなどの利用者満足度で高評価を獲得している、間違いのないFX会社です。
トレイダーズ証券 LIGHT FX
証券会社単位で見た時に、トレイダーズ証券も業界トップクラスの口座数を誇ります。そのトレイダーズ証券が2018年から提供しているサービスが「LIGHT FX」です。
米ドル円・豪ドル円・南アフリカランド円・メキシコペソ円・トルコリラ円など、多くの通貨ペアでのスワップが総合的に高く、かなり中長期トレーダー向けのFX会社と言えます。
新規で口座を作る時には、最大50,000円のキャッシュバックも適用できるので、合わせて検討してみてください。
トレイダーズ証券 LIGHT FX
スプレッド※原則固定(例外あり) | |||
---|---|---|---|
米ドル/円 | ユーロ/円 | 英ポンド/円 | 豪ドル/円 |
0.2銭 | 0.4銭 | 0.9銭 | 0.6銭 |
取引単価 | 通貨ペア数 | ||
1000通貨 | 29 |
【まとめ】外貨預金よりもFXの方が自由度は高い
外貨預金とFXはよく比較されますが、取引コストや利子(スワップポイント)を比較した場合は、両方ともFXのほうに軍配が上がります。
確かに、「FXにはリスクがありますから」などと銀行の受付の方がおっしゃるのを聞いたことがありますが、そこでいわれているリスクというのは主に「レバレッジリスク」のことです。しかし、ご存知のように、レバレッジは自分で管理することができます。レバレッジ1倍なら、リスク量(為替変動リスク)は外貨預金と同様です。
FXでは、取引する人の趣向により、ハイリスクのギャンブルに近い投機から、バランス型の投資、低リスクの外貨預金的な運用まで様々なスタイルを選べるのです。
- この記事で紹介したFX会社
- ■SBIグループ「SBI FXトレード」
- ■トレイダーズ証券「LIGHT FX」
元 銀行員|逆瀬川勇造
各国の政策金利が改定されていないか注目しましょう
スワップ狙いで投資するのであれば、各国の政策金利が改定されていないか確認するようにしましょう。ご存知のことかと思いますが、スワップポイントはドルと円など2つの通貨間の金利(政策金利)差によって決まります。政策金利は各国、中央銀行(日本における日本銀行)が一般の銀行に融資する時の短期金利の事で、その国の景気に応じて中央銀行が決めます。
例えば、リーマンショック前の2008年8月にはオーストラリアドルの政策金利は7%ほどありましたが、2019年4月現在、1.50%にまで下がっています。このように急激な変化はそう多くあるものではありませんが、投資する前に直近で改定がなかったかよく調べてから行うようにしましょう。