この記事のアドバイザ
目次
- この記事はこんな人におすすめ
- ✔ FXの中国人民元ってどう?
- ✔ 中国の成長性に期待している!
- ✔ 中国の金融事情について知りたい!
2019年時点で世界第2位のGDPを誇りつつも、米ドルや日本円と違ってなじみの薄い中国人民元ですが、高い政策金利と将来性への大いなる期待に満ち溢れている魅力的な通貨です。もっとも、一般的な通貨とは違う「管理フロート制」と呼ばれる半固定半変動相場制を採用しているなど、予備知識が必要でもあります。
以下では、まず中国人民元の特徴についてご説明した後、この通貨を取引するメリット&デメリットについてご案内し、最後に中国人民元を取り扱っているお勧め業者をご紹介します。
中国人民元(CNH/JPY)の特徴
上記は、中国人民元の月足チャート(SBI FXトレードより)です。
一見して思うのは、米ドル円のチャートに酷似しているということです。しかし、よく見てみると細かい部分のでっぱりが違うところもあります。これは、後述するように中国人民元は対ドルでの値動きを制限しているからです。
それに関連して、毎日午前10時15分に中国人民元の対ドルでの基準レートが発表されます。この基準レートの発表と、10時30分に発表されることの多い中国の経済指標とを併せて、この時刻の値動きには注目しましょう。
長期的な値動きでは、ドル円に合わせ2015年に20.2円の直近高値、2016年には直近安値の14.9円をつけています。
近くて遠い国
日本と同じ東アジアに位置する中国は、2017年10月現在世界第2位の経済大国です。最近は、中国の好景気の影響で世界中の国では中国人観光客の「爆買い」が報告されています。
ただ、それでありながら中国は日本とは全く異なる社会構造を持っており、なかなか日本にいたのではイメージしにくいところもあります。政治や経済に対する国(中国共産党)の関与が極めて大きいので、同党の動向を把握することが中国を理解するうえで重要になります。
中国の政策金利
政策金利 | 2019 | 2020 | 2021 |
---|---|---|---|
1月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
2月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
3月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
4月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
5月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
6月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
7月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
8月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
9月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
10月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
11月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
12月 | 4.35% | 4.35% | 4.35% |
これは、中国の中央銀行である中国人民銀行の発表している政策金利です。
ご覧のように、2015年に政策金利を引き下げて(これに関連する2015年のチャイナショックについては注意点のところでご説明します)からは、ここ数年ずっと4.35%で推移しています。一般的に、世界の中央銀行はアメリカの金融政策を追随することが多いですが、中国の場合はアメリカの利上げプロセスの開始にも追随して利上げをしていないなど、独自路線を歩んでいます。
日本との比較でいえば、日本はここしばらくほぼゼロ金利ORマイナス金利政策ですから、常に金利差は大きく、プラスのスワップポイントを得ることができていました。例を出すと、2017年10月28日土曜日付与分のスワップポイントは1万通貨当たり7円(SBI FXトレード。年利換算で約1.4%)となっています。
元 証券会社勤務|櫛笥大和
為替相場の乱高下や株式相場の急落などの混乱を招いた
チャイナショックとは、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行が突然人民元の対ドルレートを切り下げたことから発生した株式相場の急落や為替相場の乱高下のことを指します。この混乱は、事前の根回しなく突然人民元を切り下げたため、今すぐ人民元安に誘導しなければいけないほど中国経済が悪化しているのではないかとの懸念が広がったため発生しました。ただ、チャイナショックが起こる直前まで上海総合指数はバブルではないかといわれるほど過熱して推移していたことも株価暴落の大きな要因であり、改めて中国経済の実態を見極める難しさを投資家に認識させた出来事となりました。
中国人民元(CNH/JPY)取引時の注意点とメリット・デメリット
中国人民元は、現在ほぼドル円と連動するようになっていますが、将来的にはこの制度が廃止され、米ドルや日本円のように自由に変動する相場制になることが期待されています。
現在、中国人民元は過小に評価されているといわれていますから、もし相場制が変更になった場合、規模が規模だけに大相場が予想されています。それまでは、基本的に米ドル円の高金利&高スプレッド版だととらえておくのが適当かと思われます。
- メリット
- ✓高金利でかつ少ない証拠金で取引可能
- ✓将来的な成長可能性&変動相場制への移行を期待して投資することも可能
- デメリット
- ✓中国当局の動向がレートに大きく影響を与える
- ✓隣国の割には不透明な部分が多く、情報収集が難しい
中国人民元(CNH/JPY)を取引する時の注意点
中国人民元は、管理フロート制と呼ばれる半固定半変動相場制を採用しています。
これは、毎日午前10時15分に中国人民元の対ドルでの中心レートを公表し、これから一定範囲内での変動のみを許容するというものです(これを人民元高方向に設定することを「人民元の切り上げ」、人民元安方向に設定することを「人民元の切り下げ」といいます)。この人民元の切り下げによって起こったのが2015年のチャイナショックと呼ばれる世界同時株安でした。
したがって、中国人民元を取引する際には、ドル円やアメリカの情報のみならず、中国当局の発表にも気を付ける必要があります。
中国人民元(CNH/JPY)を取引するのにおすすめのFX会社
FX業者やFXを扱う証券会社はたくさんありますが、中国人民元を取り扱っている業者はあまり多くありません。しかし、その中でも取引コストが安く、スワップポイントも比較的高めに設定されている業者を選出しました。
バランスの取れた「SBI FXトレード」がオススメ
「SBI FXトレード」は、狭いスプレッド&高いスワップポイント、情報コンテンツの充実、安心・安全の取引にために力を入れている業者です。
- 着目すべき点
- レート配信を途切れさせない
- ロスカットの執行は最狭スプレッド
- 積立FXにも対応している
また、安心・安全の取引に関して厳重なサポートがおこなわれていて、金融ショック発生時のロスカット未収金(FX会社への借金)が著しく少ないなどの成果を上げています。
通貨ペアの少なさが唯一のネックでしたが、2016年11月14日からユーロポンドやトルコリラ円などを含む14通貨ペアの追加を発表しました。これにより、1通貨単位から取引できることも併せて、あらゆる層のトレーダーにとってさらに使いやすい信頼できる業者となりました。
トレイダーズ証券「LIGHT FX」
業界大手のトレイダーズ証券から2018年に新しくローンチされたFXサービスが「LIGHT FX」です。とくに中長期向けスワップ狙いのトレーダー向けと言ってもいいサービス内容になっています。
2019年5月29日時点での中国人民元のスワップポイントは「1lot=10円」なので、10,000通貨を所有した場合は1日100円程度のスワップを受け取れます。その他、全体的にスワップポイントの設定値が高いのがLIGHT FXの特徴です。
会社 | 米ドル/円 | 豪ドル/円 | NZドル/円 | 南アランド/円 | トルコリラ/円 |
---|---|---|---|---|---|
買 | 買 | 買 | 買 | 買 | |
トレイダーズ証券 LIGHT FX | 50円 | 26円 | 24円 | 15円 | 40円 |
さらに新規で口座を作ると取引額に応じて最大50,000円のキャッシュバックを使うこともできますので、合わせて検討してみてください。
トレイダーズ証券 LIGHT FX
スプレッド※原則固定(例外あり) | |||
---|---|---|---|
米ドル/円 | ユーロ/円 | 英ポンド/円 | 豪ドル/円 |
0.2銭 | 0.4銭 | 0.9銭 | 0.6銭 |
取引単価 | 通貨ペア数 | ||
1000通貨 | 29 |
【まとめ】FXの中国人民元について
中国は、身近な国ですが、日本とは異なる部分が多くあり、投資する場合には入念に情報を入手しておく必要があります。今後、中国経済がどのように展開していくのかは、誰にもわかりませんが、単なるスワップポイント狙いではなく、将来的な成長可能性を見越して取引する意味も十分にありそうです。
現時点では人民元の取引は限られた業者でしかできませんので、取引条件をよく吟味して、好条件かつ安心・安全に取引できる業者を選びましょう。
元 証券会社勤務|櫛笥大和
中国の人口増・経済成長に伴う動きに注目
中国人民元の今後は中国が高い成長率を維持できるかに左右されるでしょう。中国の成長をこれまで支えてきたのは世界一の人口による経済成長であり、今後も人口の増減や経済成長が人民元の今後に大きな影響を及ぼすでしょう。ただ、中国の経済成長の原動力は、世界の工場と呼ばれた労働力によるものから、中国国民の所得の増加による消費の増加にシフトしつつあります。
人民元のレートが切り上がれば中国からの輸出が鈍化することになり、生産拠点としての中国の魅力が乏しくなります。そうなれば、中国の経済成長のカギを握るのは所得・消費の増加となるため、中国国内の消費動向を注意して見ていくことが大切です。
- この記事で紹介したFX会社
- ■SBIグループ「SBI FXトレード」
- ■トレイダーズ証券「LIGHT FX」
元 証券会社勤務|櫛笥大和
GDPや景気・物価の指数を中心にチェック
中国経済について考えるのであれば、GDP成長率や消費者物価指数などの経済指標を中心に見ていくと良いでしょう。中国は中国共産党の一党独裁体制であるため、中国国内発信の経済ニュースは中国に不都合な情報が出てこない可能性が高く、信憑性に乏しくなっています。そんな状況の中で経済指標は中国国内の状況を推し量ることのできる唯一の手段といえるでしょう。特にGDP成長率を高く維持することは中国の政策目標になっているほど重要視されているので注意が必要です。もっとも、この経済指標でさえも中国経済を良く見せようと操作が行われているのではないかと懸念されているため、常にマイナス方向への影響に注意しなくてはいけません。