この記事のアドバイザ
- この記事はこんな人におすすめ
- ✔ FXの追証って?
- ✔ FXでの大損はしたくない!
- ✔ 入金額以上に損をする事はあるの?
FXでは、リスクを自分の好きなように取れますが、リスクを取りすぎ(レバレッジをかけすぎ)は、注意が必要です。
追証やマージンコール、強制ロスカットなど、自分の思い通りの取引ができなくなる場合があります。
追証とは追加証拠金のこと。つまり、証拠金が足りないから追加で入金してくださいという事です。どのようなときに『追証』が発生するのか、把握しておきましょう。
FXの証拠金に関する用語を理解する
追証制度を理解するためには、まずFXと外貨預金の違いであるレバレッジについてご理解いただく必要があります。レバレッジをはじめ、この記事でご紹介する用語は以下の通りです。
- 資金関連の用語
- レバレッジ
- 証拠金
- 証拠金維持率
- マージンコール
- 追証
- 強制ロスカット
- ロスカット未収金
レバレッジ
レバレッジとは、口座に預け入れているお金の数倍の取引を行える制度のことです。「てこの原理」ともいわれ、少ない資金で大きな取引をすることで、利益と損失の可能性を同じだけ増大させることができるという仕組みです。
なお、誤解されることが多いですが、レバレッジは高ければ高いほど良いというものではなく、その方のスキルや取引スタイルによって最適なレバレッジは異なります(後述)。
証拠金
FX口座に入っているお金のことを、証拠金といいます。口座開設をした後は、最初に証拠金となるお金を預け入れることで、トレードが可能になります。
FXの目的は、この証拠金をいかに増やすか、ということにあるといっても過言ではありません。
証拠金維持率
✓証拠金維持率(%)=有効証拠金額(資産合計+評価損益金-出金依頼金額)÷取引証拠金×100
有効証拠金とは、評価損益などを差し引いた実質的な現在の口座資金のことです。
取引証拠金とは、現在持っているポジションをとるのに必要な証拠金のことです。
例)口座資金10万円 評価損1万円 ドル円1万通貨(取引証拠金5万円)とした場合、上の式に当てはめると、
(10万円-1万円)÷(5万円)×100=180%になります。
この証拠金維持率の値によって、下記のマージンコールやロスカットが執行されます。通常証拠金維持率は、下の画像のように自分の画面で確認することができます(画像は「ヒロセ通商 LION FX」のものです)。以下の状況だと、証拠金維持率は557.93%ということです。
マージンコール
一般に、証拠金維持率が一定基準を下回った場合(有効証拠金額が取引証拠金額を下回った場合)に、FX会社からメールなどで連絡が来ます。
このメールには「取引必要証拠金不足額」が書かれており、これが後に述べる追証です。追証を支払ったり、ポジションを一部(全部)決済することなどにより、証拠金維持率を100パーセント以上に戻すことを求められます。
これを充当期限までに行わなかった場合には、全てのポジションが充当期限のレートで強制決済されることになります。
追証(追加証拠金)
ロスカット未収金と混同されることもありますが、正確には上記の取引必要証拠金不足額のことをいいます。証拠金維持率を100パーセント以上に戻すための、最低金額が、この追証となります。
預けたお金以上の損失が出るケースはあるのか?
強制ロスカット
損切りのことをロスカットということもありますが、これとは区別して強制ロスカットという制度があります。
この制度は、証拠金維持率が100%を超えてさらに低下した場合に、即時にすべてのポジションを強制的に決済するものです。いわば、これ以上の損失が拡大しないようにする最後の安全装置とも言えます。
強制ロスカットの基準は業者によって異なり、100%を切った瞬間に執行する(つまり、マージンコールはない)ところもあれば、50%や20パーセントなど、より低い維持率まで執行しないところもあります。
※一部業者ではロスカット手数料を徴収するところもあるので、気を付けましょう。
出典: 金融庁|金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針ーロスカット取引に係る留意事項ー
顧客の損失が、顧客が預託する証拠金を上回ることがないように、価格変動リスクや流動性リスク等を勘案してロスカット取引を実行する水準を定めているか。
ロスカット未収金
強制ロスカットなどにより、ポジションを決済した結果、決済が間に合わず、発生した損害が口座残高を上回る場合があります。
例)100万円の口座残高に対し110万円の損害が発生した場合
国内業者の場合には、その口座残高がマイナスになった分を充当するように求められます。
例)上記の例の場合には、FX会社から10万円請求される
この請求額のことを、ロスカット未収金といいます。FXで借金になる場合というのは、このロスカット未収金に起因します。
追証の発生を防ぐ具体的な方法
追証を避けるためには、次の3点に気を付けましょう。
- 追証の発生を防ぐために
- ✓ いわゆるオーバートレードはしない
- ✓ ポジションはその日のうちに決済する
- ✓ 悪いポジションは損切りして引きずらない
オーバートレードのリスク
例えば、100万円あれば、ドル円の場合は20万通貨程度取引ができ、それで1円分(100pips分)の利益を出せば、20万円以上の利益を上げることができます。しかし、それは反対方向に同じだけ行った場合、それだけを失うリスクを背負います。
また、ポジションをとれる限界までポジションを取った場合、(有効証拠金)=(取引証拠金)となるので、証拠金維持率は100%付近になります。
自身の証拠金維持率は常に把握する
したがって、ちょっとした為替変動で証拠金維持率が100%を割り込む可能性が高く、結果すぐに追証の通知が来てしまいます。そうなると、自分の意図したとおりの取引ができなくなるので、とりわけ日をまたいでトレードする場合には、証拠金維持率は最低でも200パーセント以上を保てるようにしましょう。
ポジションはその日のうちに決済する
追証は、そのポジションを日をまたいで持ち越す場合に求められます。したがって、日をまたがないトレード(デイトレードやスキャルピング)の場合には、追証は発生しても、事実上無関係ということになります。
※強制ロスカット&ロスカット未収金は即時に執行されるので、短期売買でも十分にありえます。
損失が拡大するのを防ぐには?
元 銀行員|河野翔太
事前に損切りの注文を入れておくことで損失を防ぐ
強制ロスカットや追証の必要性が生じる前のラインで損切り注文をいれておけば、リスク管理ができます。
強制ロスカットや追証は、一般的に証拠金維持率が100%を下回った場合に起こるため、その前段階で損切り設定しましょう。
臆病になり損切りラインを高めに設定しすぎるのもよくありませんが、かといって損切りラインを設定しないのもリスクが高すぎます。
自分の投資ルールに基づいて、「どのくらいの損失までは許容可能か」を明確にした上で、損切りラインを設定しましょう。
悪いポジションは損切りして引きずらない
いくら余裕をもってトレードしているからといって、間違った方向のポジションを引きずっていると、証拠金維持率はじわじわと低下していきます。
FXの目標は利益を出すことです。追証を回避するというのは、そのための手段・過程にすぎません。悪いポジションは引きずる(塩漬けにするともいいます)のではなく、自分のルールを決めて、損切りを徹底しましょう。
元 銀行員|河野翔太
FXでは欲を出しすぎるとリスクが高くなる
FXに限らず、世にある投資商品のほとんどが、余剰資金を運用して長期的な目線で利益を産み出すように設計されています。
もちろん、レバレッジなどを活用することで、少額資金で短期的に大きな利益を産み出すことも不可能ではありませんが、常にリスクと隣り合わせということは自覚しておいてください。
欲を出して、余裕資金以上の取引をしたり、高レバレッジにしすぎると取り返しのつかないことになる場合もあります。
FXも余裕資金を長期的な目線で運用して利益を生み出すものと理解しておいた方が良いでしょう。
追証を避ける方法:FX会社の機能にこだわる
どのFX会社を使っても、取引手法によってはロスカットや追証になります。ただ、環境を整え十分にリスク管理をすれば、追証も避けられるでしょう。
人によってFX会社選びの基準はそれぞれですが、追証を避けたいという人はアプリにこだわって見てはいかがでしょうか。
各FX会社には通知機能があり、スマホアプリから確認できるものもあります。追証を避けるためには、ピンチの際にすぐに通知をしてくれる機能が必要です。
DMM.com証券の『DMM FX』|通知機能が優秀
『DMM FX』は、高機能なチャートと見やすいデザインで人気があります。スプレッドも業界トップクラスの狭さで、基本スペックには申し分ありません。
そんなDMM FXですが、スマホアプリの通知機能が優秀です。なんと各通貨ペアごとに、現在のレートの上下に2件ずつ設定できるのです。そのほか、経済指標の発表がある場合も知らせてくれます。
プッシュ通知とメール通知があれば、外出時でもスマホで確認できるので安心です。
追証が発生するようなトレードは極力避けること
追証と聞くと、「FXって怖い」と感じられる方もいらっしゃるでしょう。しかし、それは包丁と同じです。つまり、包丁は使い方によってはとても危険だけれども、うまく活用することで多彩な料理を作ることができる、という特徴を持っています。
FXのレバレッジも、うまく活用すれば、外貨預金等では得られない大きな利益を継続してえることができます。
必ずストップロスを入れる
具体的なレバレッジの基準としましては、5倍程度を一つの目安にしましょう。つまり、限界の25倍レバレッジの5分の1です。例えば、ドル円の取引証拠金が5万円だとすれば、その5倍の25万円は用意します。そのうえで、万が一の時のために自分で損切り設定(ストップロス)を入れ、強制決済よりも早い段階で悪いポジションを決済できるように工夫しましょう。
くどいようですが、FXのリスクはご自身で管理する必要があります。リスクは多すぎても少なすぎてもだめです。まずは、上記の例を参考にして、ご自身にあったリスク管理を行うようにしましょう。
元 銀行員|河野翔太
FXでは預けた証拠金以上の損失が出ることは、ほぼない。
預けた証拠金以上の損失が出ることはほぼありませんが、可能性は0ではありません。一般的に、証拠金以上の損失が出るような場合には、強制ロスカットが実行され、必要以上の損失は未然に防がれます。
しかし、為替相場の急激な変動など、FX業者のシステムが対応しきれない不測の事態が起きた場合には、強制ロスカットが約定されずに、ロスカット未収金という借金を負ってしまうこともあります。
証拠金維持率を一定の水準に保ち、適切なレバレッジで取引をするよう心がけましょう。