この記事のアドバイザ
目次
- この記事はこんな人におすすめ
- ✔ FXのカナダドルってどう?
- ✔ 資源国だから将来的に期待できる?
- ✔ カナダドルの取引をするならFX会社はどこがいい?
カナダは先進国であり、また石油や天然ガスなど豊富な天然資源に恵まれた資源国でもあります。そのため、値動きはお隣の米ドル円と比較しても個性的なものです。また2017年~2018年では、利上げプロセスの最中にあり高金利通貨としての価値が復活しつつあります。
まずカナダドルの値動きと、ここ3年を中心に政策金利のご紹介をし、メリット・デメリットをご説明した後、カナダドルを取引するのにお勧めの業者を紹介します。
カナダドル(CAD/JPY)の特徴
これはカナダドル円の月足チャート(DMM FXより)です。
比べていただくとわかりますが、同じ資源国通貨である豪ドル円のチャートとよく似た波形をしています。リーマンショック時に68円台の安値を付けた後は、やや下向きのレンジを形成し、アベノミクスで上昇。日銀の追加緩和後の2014年末に106円という直近の高値を付けています。その後は、長らく下落トレンドに入った後、2016年末のトランプ相場で大陽線が出て、その後は上昇中という流れの中にあります。
長期的な値動きに影響を与えるものとしては、経済的に密接に関係のある米ドル円やWTI原油価格があるといわれています。テクニカル的には、資源国通貨の例にもれず上昇基調は長続きしやすいものの、それが途切れてしまうと下落に転じやすくなっています。
世界有数の資源国
世界第2位の広大な面積を持つカナダを理解するうえで、隣国のアメリカとの関係は重要です。輸出入の3分の2程度対アメリカです。また、サンドオイルと呼ばれる特殊な原油の埋蔵量が多く、そのほか天然ガスや鉱物資源など資源に恵まれています。
したがって、カナダドルのレートはアメリカの景気(米ドル円)と資源価格(特に原油)の影響を強く受けます。
出典: 東海東京証券公式ページー資源国とはー
資源国とは、様々な貴重な資源を産出する国々の総称を表しています。そうした資源の中には、金や銀、プラチナなどの貴重な鉱物資源や、石油、石炭、天然ガスといったエネルギー資源、食料資源などが含まれます。そうした国々の通貨は、商品市況に影響を受けやすく、インフレの際に買われる傾向があります。主に、オーストラリアや、ニュージーランド、カナダや南アフリカ、ノルウェーやアメリカなどが資源国として注目されています。
カナダドルを扱う上で着目するポイントは?
カナダの政策金利
政策金利 | 2019 | 2020 | 2021 |
---|---|---|---|
1月 | 1.75% | 1.75% | 0.25% |
2月 | 1.75% | 1.75% | 0.25% |
3月 | 1.75% | 0.25% | 0.25% |
4月 | 1.75% | 0.25% | 0.25% |
5月 | 1.75% | 0.25% | 0.25% |
6月 | 1.75% | 0.25% | 0.25% |
7月 | 1.75% | 0.25% | 0.25% |
8月 | 1.75% | 0.25% | 0.25% |
9月 | 1.75% | 0.25% | 0.25% |
10月 | 1.75% | 0.25% | 0.25% |
11月 | 1.75% | 0.25% | 0.25% |
12月 | 1.75% | 0.25% | 0.25% |
上記は、カナダの中央銀行BOC(カナダ銀行)が発表している政策金利の推移です。
お隣のアメリカの政策金利の推移と比較すると、カナダの金融政策はアメリカの金融政策をやや遅れて追随していることが分かります。同じ資源国であるオーストラリアとも、利上げ&利下げの時期が似通っています。
今でこそ低金利ですが、リーマンショック以前の2008年の初頭には4%という高金利だったこともあり、スワップポイントを目的として日本などの投資家から注目を集めていました。そのカナダドルですが、2017年の下半期から利上げを開始し、一時それが話題になってカナダドルが大きく買われた時期もありました。今後の情勢は、アメリカや原油価格次第という側面もありますが、高金利通貨として復活する可能性を秘めています。
カナダドル円はどのような人向けの通貨ペアですか?
元 証券会社勤務|杉崎利之
カナダドル円はどちらかというと中長期向けの通貨ペア
カナダドル円は対円通貨ペアとしては米ドル円との相関性が比較的高いものの、スプレッドが大きめのFX業者が多いため、取引コストを考えるとスキャルピングなどの短期売買にはあまり適していません。このような観点から、どちらかというと中長期的な視点で投資すべき通貨ペアと言えますが、中長期保有でスワップポイントを狙うとしても現在の政策金利は多少の上昇傾向にあるものの2019年1月現在で1.75%と決して高いとは言えない状況ですので大きな期待はできません。むしろ、中長期的なトレンドを見極めてのスイングトレードなどに向いていると言えるでしょう。
カナダドル(CAD/JPY)取引時の注意点とメリット・デメリット
カナダドルは豪ドルなどと同じく、いかにも「資源国通貨」らしい値動きをします。人によっては、ドル円よりも値動きの癖がつかみやすいかもしれません。
では、カナダドルのメリット・デメリットについて簡単にご紹介します。
- メリット
- ✓明確な上昇OR下落トレンドが出やすい
- ✓現在は低金利なのでスワップを気にせずに売りと買い双方で利益を狙える
- デメリット
- ✓豪ドルと比べて若干スプレッドが広い
- ✓ここ数年はスワップ狙いの取引は困難だった
カナダドル(CAD/JPY)を取引する時の注意点
資源国通貨の特徴は、サポート&レジスタンスラインをなかなかブレイクしない代わりに、もしもブレイクしたらトレンドの流れが完全に転換しやすいことです。カナダドルもその例にもれず、ドル円とは異なった値動きをするので要注意です。
また、地理的に指標発表時刻がアメリカと被る場合が多いです。特に雇用統計は、アメリカと同時に発表のため、両国の指標結果の影響を受けて発表時刻は激しい値動きになることが多いです。また、指標発表がなくともニューヨーク市場オープンの時間とクローズの時間は、大きな値動きが出やすいので注目しておきましょう。
その他注意が必要なのは、やはりBOC高官の発言です。政策金利の話題が出るとレートが大きく反応することがあり、しかもその動きがしばらく継続することもあります。
カナダドル(CAD/JPY)を取引するのにおすすめのFX会社
カナダドルは、取引コストが比較的割高なためなるべくスプレッドが狭い業者を選ぶ必要があります。一方で、スワップは2017年~2018年ではあまり期待できないため、重視しなくてもよいでしょう。これらの考えに基づいてお勧めのFX業者を紹介します。
国内利用者数ナンバーワンの「DMM FX」がおすすめ
「DMM FX」は、カナダドル円に限らずスプレッドが狭いことで有名です。例えば、カナダドル円の基準スプレッドは1.7銭であり、米ドルカナダドルの場合は1.8です(2017年10月29日現在)。
またFXの取り扱い通貨ペアも十分ですが、CFD(FX以外の差金決済取引)も扱っておりその中でダウ平均株価や日経平均、そしてWTI原油の取引をすることもできます。上述したように、カナダドルの価格はアメリカの景気や原油価格によって左右されます。また、日本円は日経平均の影響を受けるので、これらをまとめて1つの業者でモニターできるのは大変都合がよいです。
その他、DMMFXは買いスワップと売りスワップが同額であることと、売りのマイナススワップの金額が比較的安いことが特徴です。したがって、買いと売り両方の中長期的な取引をバランスよく行うことができます。
【まとめ】FXのカナダドルについて
カナダドルは現状(2019年現在)米ドルよりも金利が低いため、スワップ運用的な旨味はあまりないかもしれませんが、一方で安いマイナススワップを活かして積極的に売りで為替差益を狙っていける通貨でもあります。
また、トレンドが比較的わかりやすいため、ややスプレッドが高めなことにも目をつむり、スプレッドの影響が小さくなるスイングトレードをされることをお勧めします。スイングトレードでは、テクニカル分析に加えてファンダメンタルズ分析も重要になってくるため、そのために必要なデータを提供してくれる業者を選ぶ必要があります。
いろいろな通貨ペアを試してみた方が良いですか?
元 証券会社勤務|杉崎利之
最終的に自分のメインとする通貨ペアを決めるのが理想
通貨ペアによっては比較的トレンドが出やすいもの、長期間レンジ相場が形成されやすいものなど、様々な特徴があります。これらの特徴は目視でチャートを眺めても特に短時間足などでは実際に見ることのできる範囲には限りがありますので見極めることは難しいでしょう。また、目的とする戦略(例えばトレンドフォローなど)に合ったものを探そうとすると、人間の目ではバイアスがかかってしまうことが多く、あえてその戦略に合っているという結論ありきで戦略が成功している箇所ばかりに目を奪われてしまいがちです。自分の戦略を明確にした上でメインとする投資対象の通貨ペアを決めるのが理想的です。
元 証券会社勤務|杉崎利之
米ドルの動きと原油価格の動きに注意
カナダは原油のほか天然ガスや鉱物などの天然資源に恵まれた国です。そのためカナダドルは資源国通貨という特徴があり、比較的安定した動きをしています。このような点においては豪ドルと似ていると言えます。
またカナダの経済政策は先進国の中でも安定性が高いものの、経済圏としてはアメリカと地理的に隣接しているため、アメリカの経済動向や金利による影響も少なくありません。例えば、アメリカドルとカナダドルの通貨ペア(USDCAD)においては、両国の金利差が拡大傾向にある際には、より高金利の通貨が比較的長期間にわたって買われるという特徴があります。また、原油産出国としては世界第4位(2022年)であることから、原油価格の変動によるカナダ経済への影響を反映した動きになることもあるので注意が必要です。